就活が始まった瞬間に、地元が選択肢から消える
うちの代表の島田は、祖父母の家が宮崎の離島です。親の出身地で、小さい頃から、地域のあたたかさと、そこだからこその働き方を近くで見てきた人です。
それでも、就活が始まった瞬間に、その選択肢が消えました。
会社を、名前と規模と条件でしか見なくなったからです。地元にどんな会社があるかを調べもしなかった。調べる手段を知らなかったのではなく、調べるという発想が出てこなかった。
これは意志が弱いという話ではありません。就活の情報は全部、規模の大きい会社から順番に並んで届きます。ナビサイトを開けば、そういう順番になっている。地元の20人の会社は、その並びのどこにも入ってきません。
「帰ってこい」と言われても、判断材料がない
親から地元に帰ってこいと言われている人は多いと思います。
困るのは、帰るか帰らないかを決めるための材料が、実はほとんど無いことです。地元にどんな会社があるかがわからない。わからないまま「帰る/帰らない」だけを決めさせられる。
検索してみると、出てくるのは統計と、移住支援制度の案内です。有効求人倍率とか、平均年収とか。それは「地元」という抽象を比較する材料であって、「この会社で働くかどうか」の材料ではありません。
条件で入ると、条件では辞めない
もう一人、うちで取材と編集をやっている松本の話です。千葉の田舎の出身で、都内の会社に入りました。
実際入ってみたら、結局上司が結構合わないし、言ってることちゃうやんみたいなので辞めた。
条件で入って、人間関係で辞めています。そのあとの言い方がこうです。
人が辞める理由って、純粋に仕事内容が合わないか、人間関係が合わないかの2択やと思って。
入る理由には条件がなります。続ける理由には、たぶんならない。
これはUターンした人にもしなかった人にも同じように起きることで、地元かどうかとは関係がありません。だから「Uターンして後悔した/しなかった」という分け方自体が、あまり役に立たないんじゃないかと思っています。
分かれ目は、入る前にその会社の人を見たかどうかです。
意志は本物なのに、その日で終わる
島田は学生時代、地方創生の活動をいくつも見てきました。イベント、観光、SNS。
そこで感じた違和感が、いまの事業になっています。思いは本物なのに、その日で終わる。残らないから、次の学生には届かない。
それと、もうひとつ。入った会社に違和感を持って、うつになってしまった同世代を実際に何人も見ています。合わない場所に入ってしまうことの代償を、近くで見た人です。
帰るか決める前に、できること
会社を3社、名前ではなく人で見てみることです。
社長が何を考えているか、そこで働いている人がなぜ辞めていないかが読めるものを探す。無ければ、地元の商工会議所の会員名簿から気になる会社を3つ選んで、電話して話を聞かせてくださいと言うのでもいい。学生からの取材依頼を断る中小企業の社長は、思っているより少ないです。
そのうえで帰らないと決めたなら、それは後悔しない判断だと思います。材料を見ないまま消したのか、見たうえで選ばなかったのかは、10年後にたぶん違います。
話を聞かせてくれる人を探しています
この記事にはひとつ足りないものがあります。Uターンして後悔した人の話です。うちにはまだその取材がありません。
地元に帰って、思っていたのと違ったという方がいらっしゃったら、話を聞かせてほしいと思っています。うちの学生編集部が伺います。


