株式会社テクノロジ−One 代表 押野一郎

選択肢があることは、幸せだと思う

代表押野一郎

  • #インタビュー

公開 取材・文 ローカル文庫 編集部

この記事について

会社
株式会社テクノロジ−One
話を聞いた人
代表 押野一郎
公開日
2026.10.28
聞き手
ローカル文庫 編集部

私たち取材班は「都市鉱山」で日本が世界一だということを知らなかった。捨てられる電子部品に含まれる金や銀や銅のことだという。それを廃棄せずに集めて売る——その商売がどこから始まったのかも知らなかった。半導体の会社、という肩書きの奥に海外のスラムで受けた衝撃があるとは思っていなかった。

01 いつもスラムに惹かれる感じで

学生時代は時間が結構あったので、私は海外をフラフラしていました。

なんとなくいつもスラムに惹かれる感じで。そういう国に行くとスラム街にこう足が向いてしまうと言いますか。

そこで見かけるのは日本では考えられないような貧困なんです。両足とか両手のない子供を抱いてるお母さんとか。そういう景色に触れるわけです。

自分はなんとか幸せだったのでこの落差に衝撃を受けまして。なんとかできないものかと毎回色々な国に行くたびに思っていました。

そこで、この都市鉱山で社会問題を解決できないかと考えたわけです。貧しい人々を救えないか、というのがきっかけでした。

当時日本では都市鉱山が流行りだしたころでした。廃棄される電子部品に含まれている金とか銀とか銅のこと。日本は資源がない国ですが、その都市鉱山で言ったら埋蔵量は世界一なのです。最初は仙台でパソコンを集め始めました。

02 ゴミにならないんだったら、ありがたいね

祖業が資源再生事業。皆さんが廃棄しているものを集めてきて金銀銅を求める方々にお売りする。これが最初だったのですけれどもありがたがってもらえました。

大きい会社であればあるほど産業廃棄物は嫌われていて、これは一つの評価の指標になっているわけです。大量のゴミを捨ててCO2を発生させているという点と、処分費を払わないとならないという点からです。だからゴミにならない、という一点が歓迎される。

ゴミにならないんだったらありがたいねという風にどこに行ってもウェルカムでした。しかも普通の商取引と同じようにお客さんにお金を還元できるわけです。産業廃棄物を削減するということはCO2を削減するということであり、さらに経済的にもプラスが出せる。これでだいぶ採用してもらいました。

もう二十一年、今も続けてる事業です。

03 急激に上がる事業ほど、急激に落ちる

事業がもう二つあって。一つは三年前に買収した会社。電子部品や半導体を売買する商社なんです。

一般に需要家の工場では年間計画に従って毎月百個注文して百個入ってくることを繰り返します。ですけど需要家における必要量が急に上がるときがある。例えば災害の時などもそうです。今ですとAI特需で需要が増えてるわけですけど、急に二百個欲しいと言われても年間計画通りサプライヤーは百個しか準備していない。

そうすると納入先である需要家が騒ぎ出し緊急調達を得意としている会社に光が当たる。うちのネットワークを駆使して世界から調達することで百個の枠を埋める。工場を止めずに済むと。これで喜ばれます。去年は小さかった事業が今年は急伸しています。しかしいつまでも好業績は続かない。業績が右肩上がりでずっと続く事業は過去に例がない。急激に上がる事業ほど急激に落ちる。好業績の時ほど粛々と仕事をして、次の業績急落に内部留保で備えないとならない。

三つ目が半導体装置事業です。日本は世界で一番、半導体製造の歴史が長い。ということは老朽化した設備が日本には数多くある。すると製造中止になってしまった古い部品を調達できないという相談を受ける。うちには世界中から製造中止品を集めるネットワークがあります。何億円もする新しい装置に投資しなくてもうちの部品で賄える。これも重宝されてます。

04 八割方、任せてやって

もう私は卒業なので八割方、任せています。二割ぐらいは年齢と経験だけは上なので口を出します。

そうするとどうしても若い人ばかりの採用となります。平均年齢は三十歳前後とだいぶ若くなりました。私が一番年寄りです。

五、六年前はぽつぽつ辞める人もいましたが若手にシフトしてからここ二、三年は辞めていない。

若い人はエネルギーがあります。推進力。情熱。皆さん頑張ってくれてるのでありがたいです。

福利厚生も、多分上場企業に近いと思います。リモートワークもフレックスも制度としてあります。産前産後の休暇とか、旦那さん向けの育児休暇も充実しています。通勤するにしても駅と直結したビルで立地もいい。

今年春の募集では応募が八百人ぐらい来ました。全部で十五名ぐらい採用したのですがそれでも足りなくて年末にまた五名プラスと言われています。成長している企業はお金が足りなくなるのでいくらあっても足りません。

05 自分の好きなことやってれば

採用で重視してる点はパッションです。やっぱりそういうハートがある人と仕事をしたほうが楽しい。

私はその人の良いところを伸ばしたいと考えているので、どこがこの子の得意分野なのだろう、どこがいいところかな、と採用の時も考えています。

若い人たちへメッセージと言われると——若い時には与えられた仕事に一生懸命取り組んで、できるだけ早いうちにお金と時間を自由にできるような立ち位置を見つけられるといいと思います。私が当時見てた東南アジアのスラムとは異なり、選択肢があることは幸せだと思いますから。昨今は個人が活躍できる時代になったなと感じるので夢はかなうと思います。

取材: 島田大輝

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