株式会社雅匠 社長 駒田 雅俊

怖さよりもやりたいが強い

社長駒田 雅俊

公開 取材・文 ローカル文庫 編集部

この記事について

会社
株式会社雅匠
所在地
三重県
話を聞いた人
社長 駒田 雅俊
公開日
2026.11.02
聞き手
ローカル文庫 編集部

今回お話を聞いたのは、株式会社雅匠の代表、駒田雅俊さん。注文型の住宅を建てている会社です。取材では、大工になろうと決めたきっかけ、会社を立ち上げてからの悩み、自社ブランドの「テトテ」と、それをどうやって広めるかについて聞きました。

「怖さよりもやりたいが強いですね。」

01 小学校低学年の頃から、大工さんになると決めてた

犬小屋を見たのが一発目です

元々は、僕が大工さんになりたかったんです。

小学校低学年の頃から、大工さんになると決めてました。 きっかけは、父親の仕事についていったときのことです。父親が、ある大工さんの家に打ち合わせに行ったんですね。

その大工さんが、自分の家を自分で建ててたんです。 同時に、飼っている犬の犬小屋も作ってたんですよ。

その犬小屋が、めちゃくちゃ立派にできてて。犬にこんな小屋いるか?ぐらいの。それを見たときに、すげえと思った。

もう、一発目ですね。

小学生ながらのインパクトは、すごかったです。下手すると、中学校にも行きたくなかったぐらいなんですよ。大工さんになるために。

自分で立ち上げたという形です

正確には、おじいさんからなんです。おじいさんが一職人でいて、父親が建設会社をしていました。父親が、僕が学生の時にいなくなって、それと同時に会社自体もなくなりました。

で、自分で立ち上げたという形ですね。

大工さんになるイコール、自分で会社をする、っていうふうに決めてたので。大工さんをやりながら、同時に設計を独学で勉強しました。会社を起こすには、設計が分かってる方がいいだろうと。それで免許を取って、設計事務所を起こした。そういう順番です。

大変だったでしょう、と言われますけど、そんなことないですよ。

大工になることと自分で会社をすることは、小学生のときから一つの目標だったと、社長は話した。

02 怖さよりもやりたいが強いですね

自分の看板が欲しかったんです

人の下についてやる方が、当然楽なんです。責任も取らなくていい。

でも、自分の思い描いたものを作ろうとした場合、やっぱり自分の看板があった方がいいですよね。責任でやるという看板が、欲しかったんです。

正直、マイナスの部分とプラスの部分を紙に書いたら、マイナスの方が多いのは分かってるんです。全部、責任が自分にかかるので。

それも差し置いても、自分は一回はチャレンジしたかった。

よく、そのバイタリティはどこにあるの?と聞かれます。目標さえ見失わずに行けば、そこにたどり着きますね。

その道を来てない人は一人もおらん

最初の頃は、お金もない、信用もない。一人で始めて、もうガムシャラでした。

人から言われて、地域の商工会に入ってみたんです。そうすると、同じような境遇の人がたくさんいるんですよ。こうしたらいいんじゃない、ああしたらいいんじゃない、とノウハウを教えていただける。そういう団体は、いいのかなと思います。

挫折も、いっぱいありますよ。お金の悩みもあれば、人の悩みもある。先輩方に相談しまくって、どうしようっていう時もありました。

そんなとき、一人の先輩にポツッと言われたんです。上場企業みたいな大きな会社も、

「全員がその道を来てるからね、その道を来てない人は一人もおらんからね。」

あ、じゃあ、やれるんだっていう感じになりましたね。そこでこらえるか、やめるかは、自分で好きにすればいいと。

挫折したときに支えになったのは、先輩から言われた一言だったと、社長は話した。

03 裏切らないです、何かにつけても

嘘を言って裏切ると、あとあと響く

経営者として大事にしていることは、裏切らないことです。

「何かにつけても裏切らないですね。」

お客さんもそうですし、仕事をやっている仲間もそうですし、業者さんもそうです。 嘘を言って裏切るみたいなことがあると、多分、あとあと響くだろうなと思うんです。それはイコール、信用にもなると思うので。

自分がいいと思ったものは、調べてから取り入れる

会社としては、ちょっと拡大したいなと思っています。人を増やして、関東の方にも進出できればなと。

それから、自分がいいって思ったものは、必ず調べてから取り入れる。今まで、そういう形で来ているんです。

自社で商標登録をして、自社ブランドも立ち上げてあります。その自社ブランドを、どうやって上に持っていくか。そこは、思ってますね。

04 エアコンは使いませんっていう家です

玄関入った瞬間から、冷暖房効いてるんです

自社ブランドのテトテは、簡単に言うと、エアコンは使いませんっていう家です。

暑い日に家に帰ると、真っ先にエアコンのボタンを押しますよね。冬になると、暖房器具を押しますよね。それがなくても、玄関入った瞬間から冷暖房が効いてるんです。

人が暖かい、寒いと感じるのは、空気の温度が3割なんです。空気の湿度が2割。

残りの5割は、物が持った温度で感じるんです。天井、家具、壁。そういうものと、人間が熱交換して感じている。

だから、エアコンで一生懸命温度を設定しているのは、3割をコントロールしているんです。

じゃあ、物の持った温度を変えてあげればいいじゃん。

それが、そもそもの考えです。外の暑さ寒さの影響が少ない建物を作って、性能を上げていく。天井や壁の温度をコントロールするものの性能を上げていく。大まかに言うと、それがテトテです。

夏場、鍾乳洞に入ってみてください

この家は、風がゼロなんですよ。エアコンやヒーターは、風がバーっと出てきますよね。風は物の湿気をさらっていくので、冬場は特に乾燥が進む。風がなければ、乾燥しないんです。

空気環境は、肌感では分からないと言われます。だから説明するときに、いつも、夏場に鍾乳洞に入ってみてくださいと言ってます。冷房をかけているわけでもないのに、涼しいですよね。自分の体の熱が、壁や天井に奪われるからです。その熱交換を、家の中で作ってあげるんです。

エアコンの風を浴びて寝ると、朝、喉や関節が痛いとか、目がシカシカするとか。そういうのが一切なくなります。

取材者は、前日に奈良の鍾乳洞に行ったばかりで、外が暑いのにトンネルに入った瞬間に涼しかったと話した。

05 日本には、知らない技術が山のようにあると思う

家は浮くんですよ

ホームページで、エアダンシンも見られたと思うんですけど。あれは、建物自体を浮かしてしまうというものです。揺れが伝わらなければ、もう震度ゼロなので。

技術としては、二十年ぐらい前からあるんです。僕の家も、十五年ぐらい前に、エアダンシンを取り入れて建ててあります。自分の家に欲しいと思って、参入させていただいたものなんです。

開発者は北関東の方で、東日本大震災のときには、茨城の方などで何棟か建っていました。当然、家はきちっと浮いて、

「それ取り入れてあった家はお皿の一枚も割れてません。」

今は、SNSとかでいいのかなと思ってます

ただ、こういうものは広まりにくいんです。一時、テレビで報道されたこともあったんですけど、大人の事情でNGになりまして。地元のテレビ局に話をしたこともあるんですが、最終的にNGだと返ってきました。新参者は、多分難しいのかなと思ってます。

だから、今であれば、本当にSNSとかでいいのかなと思ってます。 僕は疎いので、得意ではないんです。でも、高校生や大学生はめちゃくちゃされてると思うので。宣伝広告費をそっちに回してもいいんじゃないかと思うぐらいです。

家を建てる世代に届くのが一番いいんですけど、将来、こんなのあったよねって頭に残ればいい。高校生に届けば家族の中で話もするだろうし、年配の方が孫の家を建てるときに、これどう?となってもいいと思っています。

体感ハウスには、実際に住まわれているお客さんを連れていってます。僕はコントロールを一切してないので、いいところ悪いところをはっきり言ってくださいと。皆さん、エアコンの点検も掃除もなくていいとか、一年中布団一つでいいとか。悪いところは、ちょっと高いかなと言っていただいてます。

日本には、僕も知らない技術が山のようにあると思うんです。そう思うと、ちょっとワクワクしますけどね。

いい技術があっても表に出にくい、だからどう届けるかを考えていると、社長は話した。

06 お金の集め方って、こうしかダメよって決まってないんですよ

棒倒しと一緒だと思うんです

挑戦したいけどできない人にとって、最初の弊害はお金だと思うんです。

自分で貯める人、銀行に借りる人。国がスタートアップを支援するものもありますけど、書類や審査のハードルが高い。投資家を集めるのも、一つの手です。理想は、返さなくていいお金を集めることですね。

僕も会社を起こしたときは分からなかったんです。やってから、いろんな人と話して思ったのが、お金の集め方って、こうしかダメよって決まってないんですよ。

小さい頃、砂場の棒倒しで遊びませんでした?棒さえ倒さなければ、どういう取り方をしてもいい。お金の集め方も、それと一緒だと思うんです。

一番最初にやればいいと思うのは、自分の意見を文章でまとめることです。こういうことをしたい、そのためにはこれとこれをしなければならない。夢でいいので、それを作る。数値化して表にまでできたら、もう最高です。

綺麗事は抜きにした方がいいですね

料理屋さんが、笑顔だけでいいんです、と言っても、そんなわけないです。お店が続いてくれないと、おいしいものを食べ続けられないので。

団体も同じです。

お金はいらないんです、よりも、最低限のお金は必要です、の方がいいかもしれないですね。いい人材も、お金を出さないと寄ってこないので。

取材では、大工を志した小学生のころの話から、エアコンを使わない家、揺れを伝えない家、そしてお金の集め方まで聞きました。

取材: 松本隼和/ローカル文庫編集部

いちばん心に残ったのは、小学生の駒田さんが見たという犬小屋の話です。「犬にこんな小屋いるか?」というくらい立派な犬小屋を見て、「すげえと思った」。その一瞬から、大工になる道をずっと歩いてきたのだと聞いて、夢を持ち続けることの重さを感じました。

挫折したとき、先輩に「その道を来てない人は一人もおらんからね」と言われた話も、自分が起業してうまくいかなかった経験と重なりました。駒田さんは、そこでこらえるかやめるかは自分で決めればいい、と話していました。

最後に、お金の話は言いにくくても最初に言った方がいいと教えてもらいました。綺麗事を抜きにして、自分たちの活動の対価をどう考えるか。まだ答えは出ていませんが、これから向き合っていきたいと思っています。

この会社に興味を持った方へ

株式会社雅匠のこの会社のサイトを見る

まだ知らない景色を、一緒に見に行こう。

あなたの会社のストーリーを、学生に届けませんか?

取材・掲載は無料、オンラインで約60分です。

LINEで取材を相談する

学生の方へ

活動について、LINEで話を聞いてみる。

LINEで話を聞いてみる