鈴鹿木材株式会社 森 啓介

ステージは用意できますよ

森 啓介

  • #インタビュー

公開 取材・文 ローカル文庫 編集部

この記事について

会社
鈴鹿木材株式会社
所在地
三重県
話を聞いた人
森 啓介
公開日
2026.10.27
聞き手
ローカル文庫 編集部

今回お話を聞いたのは、鈴鹿木材株式会社の代表、森さん。祖父が創業した木材の会社です。取材では、学生時代のこと、国内販売と木材の輸出という二つの事業、採用、若い人へのメッセージについて聞きました。

「まだまだ希望を持ってやってますよ。」

01 中学校の時から、木材に触れていました

小学校まで遡ると、わんぱくでした

私はね、小学校まで遡ると、わんぱくな子どもでした。 そういう幼少期を過ごしています。

高校は、いろんな事情があって、他県の高校へ行きました。 それから九州の大学へ進学します。

大学の4年間は、遊んで過ごしたようなものでした。 アルバイトをしたり、そういう学生時代です。

祖父が創業者なんです

一方で、今の会社は、私の母方の祖父が創業者なんですね。 今は木材をいちばんの商材として扱っていますけど、もとは木材を加工する製材所。 それが今の会社の前身です。

中学校の時から、そこでアルバイトをしていました。 中高大と、休みの時はいつも、木材に囲まれたところで働いていたんです。

ただ、やってやりたい、というのとは少し違いました。 環境がそういう環境だったから、マインドコントロールされてるっていうかね。 使命感、というか。

そういう意識は、大学生の頃に少しずつ体感していって、変わってきた記憶があります。

大学を出て、すぐに入ったわけではありません。 2年間は、違う仕事をしようと。 それは誰に言われたわけでもなく、自分で決めていました。

建築の会社で、ハウスメーカーの現場監督をしていました。 2年してから、正式に入社したんです。

その前に、父が二代目として祖父から会社を引き継いで、拡大していました。 私が入った頃も、父はまだ現役でしたね。

森さんは、大学卒業後の2年間を建築会社の現場監督として働き、その後に家業へ入ったと、社長は話した。

02 国内販売と輸出、この二つで成り立っています

元々は、木材市場の事業でした

今、木材の大きな二つの柱でビジネスをやっています。

一つは国内販売です。 ホームページにも景色が映っていますけど、木材市場ですね。 これが元々の鈴鹿木材の事業でした。

もう一つは、15年、20年前からやっている木材の輸出事業。 海外と取引をしています。 この二つで成り立っているんです。

輸出は、日本の木を海外へ販売するもので、ほとんどが中国です。 年々、中国での認知が広がっていて、数量も右肩上がりで上がっています。 求められているマーケットになっていますね。

国内は、なかなか厳しい業界です

一方で国内は、なかなか厳しい業界なんですよね。

四、五年前に、ウッドショックと呼ばれた時期がありました。 外国の木が入らなくなって、国産材が急に高くなったんです。 瞬間的に高騰した時もありましたけど、その後は国内での需給バランスがなかなか厳しいところで。

今は物価高の中で、木材は米と同じように、なかなか安定して販売ができないのが現状です。 だから輸出と国内と、軸をその都度移しながら成長させてきました。

鈴鹿木材株式会社は、国内の木材市場と中国向けの輸出の二つを、その時々で軸を移しながら続けてきたと、社長は話した。

03 山が好きだと、そういう人が多いですね

仕入れて、運んで、売る

仕事の流れを言うと、まず、木を扱っている林業会社や、各地域の森林組合へ買い付けに行きます。 委託で販売をお願いしたり、扱わせていただきたいという営業をかけたりします。

それをトラックで運んで、販売していく。 販売先は住宅メーカーや大工さん、原木から製品を加工する工場などです。

会社は、営業のポジションの人と、丸太を仕分けしたり整理したりする現場の人たちで成り立っています。

現場の人には、木が好きだという動機で入った方も何名もいますね。 営業は、買い付けで山の方へ行きますから。

「やっぱり山が好きだと。」

基本、アウトドアの方が多いですね。

流通のど真ん中にいます

うちは、山で林業をしている方と、加工する大型工場との間、流通のど真ん中にいる役割です。 だから幅が広い。 いろんな方と接点があって、携わることができる。 そこはいろいろ、やりがいがありますね。

うちは林業は基本やってないんですよ。 営業が山へ行って、商談をするという形です。

でも実はね、私は別会社で林業会社もやっています。 去年の1月から、M&Aで。 もともと私は山を買い付けして、伐採を外注に依頼していました。 その依頼先だったんです。 いろいろ相談があって、じゃあもう一緒にやろう、と。

森さんは、買い付けた山の伐採を依頼していた先と、昨年から一緒に林業の会社をやっていると、社長は話した。

04 稼ぎたいという気持ちの強い人を、求めたいです

学歴よりも、熱中してきたこと

採用は、随時やっています。

いちばん大事にしているのは、学歴ではないんです。 偏見かもわからないけど、スポーツをしてきたとか、何かに熱中してやってきた人。 そういう人材を、と思いますね。

だから学歴よりも、直感的な面談というか、そういうところを大事にしています。

今は若い子たちも、いろんな条件で判断するでしょう。 一方で、稼ぎたいという気持ちの強い人は、求めたいですよね。 それに対してのステージは、用意できます。

「退職率も低いですし、もう長年のメンバーでやってますから」

だから環境は、非常にいいと思いますよ。 稼ぎたい人、木が好きな人。

そこまで手が回らないですね

募集は、いろんな媒体を使っています。 相当お金も使っています。 ただ季節性もあって、ご縁だから、来る時は来るし、全くない時期もあります。

SNSはやっていません。 そこまで手が回らないですね。

最近は、事務処理を効率よくするために、独自でアプリを作る指導のコンサルを受けています。 これからどんどん、AIとかも駆使していきたい。 一方で募集の仕方は、我々も昭和のやり方というか、媒体頼りのところですから。

「ステージは用意できますよ。」

05 自分のやりたい仕事に、携わってほしい

いろんな人生があると思います

皆さん、人生にはいろんな目指すこと、やりたいことがあると思います。

仕事だけで言うと、できるだけ自分のやりたい仕事に、どういう形でも携わる。 それが理想だと思うんです。 難しいかもわからないけど。

この会社にいてよかったなと思えるかどうか。 給料などの面が、今は第一優先になるかもしれません。 でも、気持ちが入るところに、なるべく携われるように。 若い子たちには、そういうのを目指してほしいなと、切に思います。

唯一無二の輸出業者ですから

我々の仕事で言うと、輸出事業は、木材市場の中で唯一無二の輸出業者です。

「今日本から出してるマーケットシェアが、だいたい一位か二位ですから。」

これからまだまだ、潜在的に中国のマーケットを拡大していける。 可能性があります。

今は原木を出していますけど、これからはテーブルや木工品などの製品を海外へ出したいと思っています。 木材は、テーブル一枚とっても、市場の評価がさまざまです。 富裕層をターゲットにした商品もあれば、一般の住宅に使う部材もある。 中国も広いですから。

開拓は、海外向けのサイトでの発信もしますけど、中国にはこちらから出向いています。 私も行っていますし、横のつながりもある。 向こうからも、日本で輸出をしている業者を調べて、見積もりを聞いてきます。 販売先の拡大は、まだまだ可能性がありますね。

国内販売も、六十年以上の歴史の中で、知名度と信用を勝ち取ってきました。 これからもやっていきたい。 輸出で一緒にやりたいという人がいれば、一緒にやりたいです。 仲間がいれば、来てください。

取材では、祖父の製材所から始まった会社の歩みと、輸出をさらに広げていく考えを聞きました。

取材: 島田大輝/ローカル文庫編集部

いちばん心に残ったのは、森さんが「使命感」という言葉を口にした場面です。中学生の頃から休みのたびに製材所で働き、やりたいというより、環境の中で意識が少しずつ変わっていったという話でした。そのうえで、大学を出てからの2年間は別の会社で現場監督をしています。それが誰に言われたわけでもなく、自分で決めたことだったという点が印象に残りました。

採用の話で、森さんは「ステージは用意できますよ」と言いました。地域の会社を取材していると、人は欲しいけれど十分には払えない、という話を聞くことが多いので、稼ぎたい人を正面から求める姿勢は新鮮でした。

一方で、森さんは若い人に「自分のやりたい仕事に携わってほしい」とも話していました。稼ぐことと、気持ちが入る仕事をすること。その二つをどう両立させるのかは、自分の進路と重ねながら、これから考えていきたいと思います。

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